こんにちは、鍼灸師の水上です。
今回は、スポーツをしている方に多い「棚障害(たなしょうがい)」についてお話しします。膝の前側に痛みがあるけど、レントゲンでは異常が見つからない……そんな悩みを抱えている方はいませんか?実はその痛み、「棚障害」かもしれません。この記事では、棚障害とは何か、そして鍼灸でどのようにアプローチできるのかを分かりやすく解説します。
棚障害とは?
棚障害とは、膝関節の中にある「滑膜ヒダ(かつまくひだ)」という組織が炎症を起こした状態を指します。この滑膜ヒダは、生まれつき誰にでもある構造ですが、通常は特に問題を起こしません。しかし、膝を酷使するスポーツ選手や、過去に膝をケガしたことがある人などでは、このヒダが肥厚(分厚くなる)し、関節内で引っかかったり、摩擦を起こしたりして痛みを生じます。
この障害は、特に成長期の若者や、膝を頻繁に曲げ伸ばしするスポーツ(サッカー、バレーボール、バスケットボールなど)をしている人に多くみられます。
主な症状
棚障害の代表的な症状には以下があります。
- 膝の前側の痛み(特に膝の内側寄り)
- 膝を曲げ伸ばししたときのひっかかり感
- 長時間の歩行や運動後に膝が腫れる
- 膝を伸ばしきれない、または曲げにくい感覚
見た目に異常がなく、レントゲンにも写らないことが多いため、見逃されやすいのも特徴です。
鍼灸でできること
棚障害に対して鍼灸でアプローチできることは多くあります。痛みの軽減はもちろん、再発予防のための体のバランス調整にも効果が期待できます。
① 痛みの緩和
炎症による膝周囲の筋緊張や神経の興奮を、鍼やお灸でやさしく抑えることができます。特に大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)や内転筋群(太ももの内側)の緊張を緩めることで、膝関節の圧迫を和らげ、痛みを軽減します。
② 滑膜ヒダへの間接アプローチ
鍼灸は滑膜ヒダそのものに直接作用するわけではありませんが、その周囲の筋肉や血流状態を改善することで、組織の回復を助け、ヒダの炎症を鎮めやすい環境を整えます。
③ 姿勢・動作の調整
棚障害が起きる背景には、体の使い方のクセやアンバランスがあることが多いです。鍼灸は腰・骨盤・足首など、全体のバランスを整える施術も可能です。これにより、膝への負担を減らし、再発しにくい体づくりを目指します。
まとめ
棚障害は一見軽い膝の痛みに見えますが、放っておくと慢性化し、パフォーマンス低下につながることもあります。鍼灸では、炎症の軽減や筋肉の調整、体全体のバランス改善を通じて、自然治癒力を引き出すサポートができます。痛み止めやリハビリだけでは改善しにくい場合は、一度鍼灸を取り入れてみるのもよい選択です。
当院では、スポーツ障害に対する鍼灸施術も行っております。膝の違和感や痛みでお悩みの方は、ぜひご相談ください。